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沖縄防衛局の選挙不当介入に抗議する申し入れ

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 10日の午後、ティダの会と新基地建設問題を考える辺野古有志の会で、沖縄防衛局名護事務所に対し「沖縄防衛局による宜野湾市・名護市の選挙介入に対し、真実究明を求める申し入れ」を行ってきた。
 最初に、以前申し入れてあった環境影響評価書の公聴会についての回答を求めた。名護事務所の石倉三郎所長は、沖縄防衛局本局だけでなく本省にも話は上がっていて、現在関係機関と調整し、検討中であると回答した。それに対しティダの会・有志の会は、すでに環境影響評価審査会から知事への答申が出され、知事意見の提出も迫っているので、早急に公聴会を行うことを再度申し入れた。
 そのあと本題に入ったが、最初に以下の申し入れ文を読み上げて手渡した。


     沖縄防衛局による宜野湾市・名護市の選挙介入に抗議し、事実究明を求める申し入れ

 沖縄防衛局が2月5日告示の宜野湾市長選挙に向けて、同市居住局員と家族・親族が居住する局員の名簿を作成し、真部朗局長が投票を呼びかける講話を行ったことが明らかとなりました。真部局長は2月3日に衆議院予算委員会に参考人招致され、さらに沖縄弁護士会の23人の弁護士に自衛隊法違反で那覇地方検察庁に告発されています。国家公務員法や個人情報保護法の違反を指摘する声もあり、沖縄防衛局による宜野湾市長選挙への不当介入として、県内外で大きな批判が浴びせられています。
 安里猛宜野湾市長が病気を理由に辞表を提出したのは2011年12月28日です。その日未明、沖縄防衛局は真部局長を先頭に、辺野古「移設」に係る環境影響評価書を、沖縄県庁守衛室に持ち込みました。また、真部局長が宜野湾市長選挙に向けて名簿作成をメールで指示した1月4日は、多くの市民が見守るなか、県庁で評価書の入った段ボール箱が開封された日です。
 これらの動きを見ると、真部局長の宜野湾市長選挙への介入は、環境影響評価書の年内提出強行と連動するものであり、辺野古新基地建設のために手段を選ばない強圧的な姿勢が現れたものです。田中聡前局長の「犯す前に言うか」という暴言問題、環境影響評価書の未明持ち込み、MV−22オスプレイの後だし、高江での拡声器を使った住民への嫌がらせ、そして、今回の宜野湾市長選挙への不当介入と、沖縄防衛局の一連の行動は常軌を逸しています。
 その根底にあるのは、辺野古新基地や高江ヘリパッドを建設するためなら、県民を欺き、法や条例を犯すこともいとわない、という公権力の傲慢な意識です。そして、沖縄県民の犠牲と苦しみを省みない差別意識であり、日米安保体制を絶対視して、米軍に尽くすことを最優先する隷従意識です。
 私たちティダの会・新基地建設問題を考える辺野古有志の会は、今回明らかになった宜野湾市長選挙および2010年に行われた名護市長選挙、名護市議会議員選挙への沖縄防衛局の不当介入に怒りを持って抗議し、以下のことを要求します。

1.2010年に行われた名護市長選挙、名護市議会議員選挙において、沖縄防衛局が行った介入の内容について、すべて明らかにすること。
 ?両選挙において作成した名簿の内容、対象者、人数、使用方法を明らかにすること。
 ?両選挙において行われた真部局長の講話の日時、場所、参加対象者、人数、講話の内容を明らかにし、講話記録を公開すること。
 ?名簿作成、講話以外に行った選挙に係わる活動があれば、その実態を明らかにすること。
2.真部局長は名護市の有権者に対し、両選挙への不当介入を謝罪し、辞任すること。
 

 以上申し入れます。


 申し入れは1時間半にわたって行われた。石倉所長は申し入れの1に対して、現在防衛省の業務適正化委員会で調査中であり、この場では回答できないとした。それに対しティダの会・有志の会では、同委員会の結論が出しだい回答することを求めて確認した。2についても石倉所長は、事実関係について同委員会で調査したうえで評価が出される、との考えを示した。
 石倉所長は真部局長の講話が、服務指導の一環として行われたもの、としていた。それに対し、指導しなければいけないほど防衛局員が選挙に行かない、という事実があったのか、という質問が出ると、言葉を濁していた。また、なぜ宜野湾市や名護市の選挙で講話を行ったのか、という問いには、普天間基地「移設」という重要な課題があるから、と答えていた。さらに、宜野湾市に住んでいないが家族・親族がいる局員も講話の対象となっていることについて、宜野湾市の有権者でもないのにどうして服務指導の対象となるのか、と問われ、明確に答えきれなかった。
 他の市町村選挙でも同様の講話が行われているのか、という問いに対しては、委員会で調査中なので…、と石倉所長は答えを避けていた。他の質問でも、委員会で調査中…と逃げの返答が目立った。しかし、これまで自分が講話に参加したり、講話が行われているのを見聞したことはない、とも話し、頻繁に選挙向けの講話が行われているのではないことを示していた。

 今回、真部局長がわざわざ講話を設定したのは、沖縄防衛局が事業者である普天間基地「移設」問題に直接関係する重要な選挙だからというのは、石倉所長も言っているとおりである。自らが進める事業に有利な選挙結果が出ることを望むのは、局長、局員として当然のことかもしれない。しかし、だからといって勤務時間中に人事係からメールを出し、本局施設内に特定の局員を集めて、局長が講話で投票を呼びかけることが許されるわけではない。
 誰に入れろと明示しなくても、自らが進める事業に係わる選挙であれば、二人のうち誰に投票すべきか、局員として望まれる判断は自ずから明かである。勤務時間中に呼び出されて局長からじかに講話をされて、心理的圧力を感じた局員もいるはずだ。また、家族や親族にまで口出しされることは、局員にとってプライバシーを侵害されることであり、そのことに反発や不快感を覚えた職員もいただろう。
 そもそも、本人が宜野湾市に居住していない局員に対して、服務指導として投票を呼びかけた、という理屈は通らない。宜野湾市長選に対し投票権のない局員を、わざわざ講話に参加させて指導する理由などないからだ。言うまでもなく、宜野湾市に住む家族や親族への投票を促すために講話に参加させているのだが、局員以外の市民に対する投票促進も、沖縄防衛局員の業務だとでも言うのか。業務外の目的で市民の名簿を作成することは、個人情報保護法に照らして問題があるはずだ。

 今回の真部局長の講話問題は、内部告発によって明かとなったのだが、沖縄防衛局の局員の中にも、宜野湾市長選挙に向けた名簿作成や講話について、疑問や反発を感じている人がかなりいることを伺わせる。石倉所長は真部局長の言葉を借りて、講話が「誤解を与えたなら反省したい」と言っていたが、まるで宜野湾市民や沖縄県民が「誤解」しているのが悪いかのような言いぶりだ。盗人猛々しいとはこのことであり、自分たちの非常識が世間で通ると誤解しているらしい。選挙に向けて服務指導が必要というなら、まず真っ先に、真部局長を服務指導したうえで処分すべきだ。
 辺野古有志の会の皆さんからは、沖縄防衛局の対応に対し強い批判が、申し入れのあいだ続いた。名護市民は選挙のたびに「基地を受け入れるか否か」という踏み絵を踏まされてきた。一地方自治体の選挙が国策に振り回され、住民は分断と対立を強いられてきた。住民が味わってきたつらさ、やるせなさ、怒りに思いをはせることなく、今度は宜野湾市長選挙で同じことをくり返している。真部局長と沖縄防衛局をこのまま許してはならない。


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