国民の知る権利を侵害する「特定秘密保護法」の
施行に抗議し、同法の速やかな廃止を求める声明
政府は、本日12月10日、多くの国民の反対の声を足蹴にして特定秘密保護法を施行しました。この法律は秘密情報を漏らした公務員だけでなく、情報を知ろうとしたジャーナリストや市民をも厳罰に処し、「国民の知る権利」を奪う危険な法律です。安倍政権は、昨年12月6日に同法案を強行裁決しました。パブリックコメント等での反対の声、識者の問題指摘を振り切って施行したことに対し、強い憤りをもって抗議するとともに知る権利を侵害する特定秘密保護法の速やかな廃止を求めます。
沖縄返還に関わる日米両政府の密約を暴露した記者が有罪になった「事件」は、私たちの記憶に焼き付いています。沖縄へのオスプレイ配備計画は、1996年に決まっていたにもかかわらず、日本政府によって隠蔽されてきました。米公文書によって明らかにされても外務省官僚は、守秘義務を理由に認めていません。ベトナム戦争時に沖縄に持ち込まれた枯葉剤(ダイオキシン)問題も秘密のままです。この上「秘密保護法」が施行されますと、公務員をはじめ関連業者は萎縮して口をつぐみ、国民の生命・安全に関わる重要な情報さえも隠蔽されてしまいかねません。
そもそもこの「秘密保護法」は、日本での防衛、外交に関する機密情報漏えい事件は極めて少なく、法律の必要性を示す根拠が「弱い」と内閣法制局から指摘を受けていました。それにもかかわらず安倍政権が成立を強行したのは、アメリカとともに戦争できる体制づくりを急いでいるからにほかなりません。日米共同の軍事演習が頻繁に行なわれ、米軍と自衛隊の一体化が進んでいる現在、日米両軍の軍事機密の共有が必要だとするアメリカからの要請に基づくものです。このことは運用基準に「米国の軍隊との運用協力に関するもの」と明記されていることでも明らかです。同時に私たちが最も懸念することは、国民への監視体制が強化されることです。特定秘密は①防衛②外交だけでなく③スパイ活動防止④テロ防止にも及んでおり、スパイ、テロ防止の二分野は定義が拡大解釈される危険性があります。政府諮問会議のメンバーからさえも「市民生活が警察の監視の対象になりかねない」と指摘されています。
沖縄戦で「軍機保護法」のもと沖縄県民が総スパイ視され、多くの住民がスパイ嫌疑で虐殺されました。このたびの「秘密保護法」は防衛、外交にとどまらず、スパイ、テロ防止を口実に市民生活全般に監視対象が拡大される恐れがあり、戦時中の「軍機保護法」を超え、「治安維持法」を併せ持つ稀代の悪法と言われます。私たちは特定秘密保護法が施行されても運用を厳しくチェックするとともに、法律の廃止まで粘り強く闘うことを表明します。
2014年12月10日
住基ネットに反対する市民ネットワーク沖縄
代表世話人 上江洲由美子
内閣総理大臣 安倍晋三様