２２日は「高江ヘリパッドいらない住民の会」の皆さんが東村当局に要請行動を行うというので、水曜行動は中止して応援に行った。伊集盛久村長との交渉時間はわずか１５分で、参加できたのは東村民に限られた。廊下で待機しながら耳を澄ましたが、詳しいやりとりは聞き取れず。取材した琉球朝日放送が以下のように報じている。
http://www.qab.co.jp/news/2013052243363.html
自治体の首長が何をおいても優先しなければならないのは、村民の命と健康、安心して暮らせる生活環境を守ることだ。ＭＶ２２オスプレイの沖縄配備に反対して東京行動に参加していながら、高江で行われているオスプレイの訓練には反対しないという伊集村長の言動は、明らかに矛盾している。
Ｎ４地区をはじめ高江の集落を囲むように建設されるヘリパッド（オスプレイパッド）が、「オスプレイを想定していない」というのも詭弁にすぎない。オスプレイはＣＨ４６ヘリの後継機として、７月には第２陣の普天間基地配備がなされようとしている。Ｎ４の既存のヘリパッドにオスプレイはすでに１度着陸し、メインゲート周辺のヘリパッドは頻繁に使用されている。日々の生活に不安を感じて訴えいている村民に対し、その場しのぎのごまかしを行うのは自治体の首長として不誠実である。
沖縄は那覇を中心に中南部に人口が集中し、沖縄島北部（やんばる）は過疎化や経済振興の遅れに悩まされてきた。北部東海岸で村づくりを進める伊集村長の苦労も並大抵ではないだろう。そこにつけ込んで日本政府は、基地受け入れと振興策をリンクさせ、強引にヘリパッド建設を進めてきた。そういう政府・沖縄防衛局の言うがままになり、村民の犠牲に見て見ぬ振りをするなら、地方自治は足下から崩れていく。
琉球朝日放送の空撮映像で分かるように、Ｎ４地区で完成したとされるヘリパッドは、周りを森で囲まれ、芝生が植えられた直径４５メートルの接地帯がやっと確保されている状態だ。本来、接地帯の周りは幅１５メートルの無障害物帯がドーナッツ状に確保されていなければならない。しかし、無障害物帯（植生マットを敷かれて白く見える部分）はいびつな形状で、画面の左側（南側）は接地帯のぎりぎりまで谷間が迫っている。狭い場所に無理をしてヘリパッドを建設したのが分かる。
画面左側の草の生えた斜面（のり面）にある灰色の帯のようなものは、土砂崩れを起こした場所に保護シートをかぶせた所だ。現場への立ち入り調査をした東村などによれば、保護シートはさらに森の中まで続いている。Ｎ４の一つ目のヘリパッドは工事中に土砂崩れを起こし、伊集村長をはじめとした東村当局、沖縄県当局、国会議員、県議会議員が計４回も立ち入り調査する事態となった。
このような欠陥ヘリパッドを使用してヘリやオスプレイが事故を起こせば、日本政府や米軍だけでなく、立ち入り調査した東村、沖縄県、国会議員、県議会議員も責任を問われる。伊集村長はそのことを肝に銘じて、少なくともこの欠陥ヘリパッドの使用禁止を日本政府・沖縄防衛局に求めるべきだ。高江の集落に近く、谷間に面して土砂崩れを起こすようなヘリパッドを使用させてはならない。
同じことが仲井真弘多知事にも問われている。知事はオスプレイの県内配備に反対しながら、高江でのヘリパッド建設を容認し続けている。ヘリパッド（着陸帯）があるからオスプレイは飛来するのであり、訓練施設の建設を容認して配備に反対しても、しょせんはポーズだけではないか、と日本政府に足下を見透かされる。やんばるの貴重な森を守らないで、仲井真知事が奄美・琉球の世界自然遺産登録を求めても説得力はない。
昼食後、午後１時から古堅実吉さんの講話が行われた。米軍統治下にあって日本国憲法が適用されない沖縄で、１９６５年にやっと憲法記念日を祝日として制定させた、という話には考えさせられた。ヤマトゥで憲法記念日が制定されたのが１９４８年。沖縄はそれから１７年も経って制定され、その適用はさらに７年経った１９７２年５月１５日を待たねばならなかった。
「押しつけ憲法」と軽々しく言う者があるが、当時の沖縄の人々にとって憲法は自ら選び取ったものであった。そのことが立法院での取り組みをふくめ詳しく語られていた。教公２法阻止闘争の話も現場の臨場感が伝わってくる貴重な証言だった。
やんばるの森では今、アオノクマタケランの白い花があちこちで咲いている。下の２枚はＮ４テントの近くで咲いていたもの。梅雨の雨は森にとって恵みそのものだろう。