4月6日午後2時から浦添市てだこホールの多目的室1で、「共通番号制の内容と問題点」と題した講演会が開かれた。主催は住基ネットに反対する市民ネットワーク沖縄(反住基ネット沖縄)。天候の悪さが気になったが、77人の参加があり、韓国の社会住民登録番号の問題を追及したDVDの上映や、白石孝さん(プライバシーアクション代表)の講演に集中し、質疑応答も活発で、参加者の問題意識の高さがうかがえた。
白石さんによれば、共通番号制は現在、衆議院の内閣委員会で審議されているが、明確に反対の立場から熱心に追及している委員は、赤嶺政賢議員くらいしかいないという。参議院でも明確に反対の内閣委員は、糸数慶子議員くらいとのこと。沖縄県選出議員の意識の高さは、沖縄戦で日本軍により県民が監視され、スパイ扱いされて虐殺された歴史や、米軍基地・自衛隊基地が集中するなかで、反戦・反期地運動をたたかい続けている現実が影響しているのだろう。2議員の頑張りに期待したいが、国会の状況は厳しい。
市民1人ひとりに割り振られる共通番号によって、国家が膨大な量の個人情報を一元的に管理し、いずれ民間企業による利用も進められる。それによって成りすましによる犯罪や個人情報流出による被害が発生する問題は、番号制「先進国」である韓国を実例にDVDで示されていた。共通番号制それ自体の問題に加え、秘密保全法やインターネット規制、憲法改悪などが複合的に影響しあう時、いったい日本はどのような社会となるのか。個人情報の流出への懸念どころではない、深刻なプライバシーと人権の侵害、言論統制・監視社会が予想されるのである。
沖縄は今、「負担軽減」とは名ばかりの米軍・自衛隊の強化が進められている。基地の「整理縮小」とは、老朽化した施設を最新鋭のものに更新し、集中化によって効率性を上げ、日本国民の税金で基地機能を強化するものでしかない。それに反対する市民を洗い出し、個人情報を掌握して圧力を加える。共通番号制による個人情報の一元管理は、そのような政府権力の意に添わない市民への弾圧手段として、いずれ利用されるだろう。利便性にのみ目を奪われることなく、共通番号制の問題点と危険性を把握して、反対の声をあげていきましょう。
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-04-07_47721