前日の東村に続き、13日はN4ヘリパッド建設現場の土砂崩れについて沖縄県による立ち入り調査が行われた。午後12時ちょうどにN4にやってきた沖縄防衛局員と県の担当者は、1時間ほどN4のヘリパッド建設現場に入り、のり面の崩落状況や移植した貴重植物の調査を行った。その後、H地区のヘリパッド建設予定地に移動し、移植した貴重植物の調査を行った。
立ち入り調査終了後、N4テント向かいの広場で、県の下地岳芳環境企画統括官をはじめとした調査担当者による住民への説明が行われた。崩落現場の状況や移植した植物の生育状況などを説明し、住民からの質問に答えていた。今日の調査をもとに今後、ヘリパッド建設現場の崩落の原因分析や、赤土流出に対する対処への判断などを行うとのこと。
今回の立ち入り調査は、1月31日に行ったヘリパッドいらない住民の会による沖縄県への申し入れを受けてのものである。土砂崩落が起こってからすでに1ヶ月余が経っており、沖縄防衛局と大米建設によって崩落直後の痕跡は消され、「修復」の名のもとに状況を過小評価させる弥縫策も施されているだろう。県は事故直後の写真を沖縄防衛局に求め、保護シートが敷かれる前に何があったかを把握したうえで、住民の目線に立って検証してもらいたい。
県の説明の最中も、MV22オスプレイの爆音があたりに響いていた。現在建設中のヘリパッド=オスプレイパッドは県道から100メートルほどしか離れていない。現場に立って県職員の皆さんは、住民の生活地域との近さを実感したはずだ。また、三方を谷間に囲まれ、接地帯のすぐ側まで土砂崩れが迫っていることなど、立地条件の危険性も認識したはずである。たんに赤土流出にとどまらない問題の深刻さを、県知事に伝えてもらいたい。
県の担当者による説明では、N4のヘリパッド建設に伴う貴重植物の移植について次の報告がなされていた。
アメヒサカキ 移植数 3本 生存数 1本
ヤナギバモクセイ 移植数 6本 生存数 1本
トサカメオトラン 移植数 6本 生存数 6本
キヌラン属1種 移植数 1本 生存数 0本
タカサゴヤガラ 移植数 1本 生存数 1本
5種のうち3種は惨憺たる状況である。N4のヘリパッド建設がなければ、これらの貴重植物が失われることもなかった。H地区の移植はうまくいっているようだが、実際に工事が行われればどうなるか分からない。今回の土砂崩落によっても、埋もれてしまった植物があるはずだ。
N4のゲート付近からは、崩落したのり面に生えていた樹木の伐採された残骸が見える。これ以上の自然破壊を許さないためにも、N4のヘリパッド建設を中止し、計画を撤回したうえで森林の回復措置を図るべきだ。ノグチゲラやヤンバルクイナが生息する森に、オスプレイやヘリの爆音を轟かせて、何が世界自然遺産の候補地だろうか。