1月31日にヘリパッドいらない住民の会による県環境保全課への要請行動があり、参加させてもらった。要請の内容は、現在高江で建設中のヘリパッド工事現場で発生した土砂崩れについて、工事の即時中止や現場立ち入り調査を求めるものである。
翌2月1日に県の担当者が沖縄防衛局に行き、〈ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設工事周辺の土砂崩落について〉説明を受けている。沖縄タイムスがそれを記事にしている。
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-02-02_44764
記事では崩落が〈長さ8メートル幅15メートル〉となっているが、赤嶺政賢衆議院議員による防衛省への聴取では〈幅8m×長さ15m〉となっている。どちらが正確なのだろうか。いずれにしろ県は現地に立ち入り調査して、崩落の規模や場所、土砂流出の状況などを明らかにしてほしい。
沖縄タイムスの記事の中に以下の箇所がある。
〈県によると、防衛局は今回の崩落現場について、ヘリパッド移設工事区域に入っていないほか、設計通りに工事をしていることなどを挙げ「工事は崩落の原因ではない」と答えたという〉
崩落現場が〈ヘリパッド移設工事区域に入っていない〉というのは、沖縄防衛局の真っ赤な嘘である。赤嶺議員の聴取に対し防衛省は〈着陸帯の外の無障害物帯が崩れている〉と答えている。下の「ヘリパット平面図」を見てほしい。
これは情報公開請求に基づいて沖縄防衛局が出したN−4.1地区のヘリパッドの図面である。直径45メートルの着陸帯=接地帯の外に幅15メートルの無障害物帯が設けられていて、それを含めた直径75メートルの円形地帯が「ヘリパット」として平面図で示されている。そして、無障害物帯でも樹木の伐採やチガヤの植栽などの工事が行われているのである。
つまり、今回の崩落は無障害物帯というヘリパッドの本体部分で起こっているのであり、〈ヘリパッド移設工事区域に入っていない〉というのは、沖縄防衛局の虚偽説明である。沖縄防衛局は、無障害物帯を〈ヘリパッドの周辺部にあたる緩衝帯〉と表現することで、崩落箇所がヘリパッドの外側であるかのように事実を偽っている。呆れたことに沖縄防衛局は、県当局に嘘をつき、メディア、県民をだまそうとしているのである。このような沖縄防衛局による虚偽、事実の隠蔽を許してはならない。
次の図面も沖縄防衛局が情報公開した「N−4.1地区 計画平面図」である。実線で示された円形が直径45メートルの接地帯、点線で示された円形が無障害物帯を含む直径75メートルのヘリパッド全体である。
これを見ると、ヘリパッドの南東側が急斜面になっていて、工事現場が谷間に面しているのが分かる。斜面は元々は森だった所で、樹木を伐採して工事が行われている。樹木を伐採した後にのり面が崩落を起こすのは、これまでやんばるの林道工事でくり返されてきたことだ。ヘリパッドを建設するために森林を切り開き、樹木を伐採したこと。これが今回の崩落の一番の原因であり、〈〈工事は崩落の原因ではない」〉などと沖縄防衛局はよくも言えたものだ。
二つの図面に色を付けた部分が、新聞記事その他から推測した崩落箇所である。1月26日付琉球新報の記事の写真では、接地帯の周りを囲む土砂流出防止柵策と思われる板囲いが写っている。そこまで崩落が進んでいるとすれば、無障害物帯南側のかなりの部分が崩れ、接地帯=着陸帯も危ない状態にあると考えられる。
今回の土砂崩落は、谷間に面して造られようとしているN−4.1地区のヘリパッド(オスプレイパッド)が持つ欠陥性、危険性をはっきりと示している。沖縄タイムスの記事では〈防衛局は今後、崩落箇所に植物の種子や肥料を埋め込んだ植生マットを取り付け、土砂の崩落を防ぐ対策を取る予定だという〉が、まさに表面を取りつくろうものでしかない。
MV22オスプレイやCH53Eヘリが何百回と離着陸をくり返せば、再び大規模な土砂崩れが発生するのは時間の問題である。谷間に面していて地盤が軟弱という、場所の選定自体が誤りなのであり、政府・防衛省はN−4.1地区でのヘリパッド建設工事を即時中止し、建設を断念すべきだ。建設を強行すれば、世界一危険な欠陥ヘリパッド(オスプレイパッド)として、いずれオスプレイごと崩落する大事故を起こすだろう。