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Channel: 海鳴りの島から
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陸上自衛隊第15旅団に対するティダの会と新基地問題を考える辺野古有志の会の要請

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 20日(木)は午後3時から陸上自衛隊那覇駐屯地前で、第15旅団のホームページに旧日本軍・牛島満司令官の辞世の歌が載っていることに対し、即座に削除するようティダの会と新基地問題を考える辺野古有志の会で要請を行った。

 沖縄は今日、梅雨が明けた。夏の日差しがさすなか、基地のゲート前でしか対応しないというので、ティダの会の大城会長が要請文を読み上げ、応対した自衛官に渡した。

 95歳になる島袋文子さんも辺野古から駆けつけ、自らの沖縄戦体験を応対した自衛官に語った。

 沖縄戦当時、文子さんは15歳だった。盲目の母親と弟を連れ、南部の戦場を逃げ惑った。

 夜、飲み水を求めて水たまりに行き、自分が飲んだあとツワブキの葉で水をすくい、何度も往復して母と弟に水を飲ませたという。

 翌朝見ると、水たまりには死体が浮いていて、自分は血と泥が混じった水を飲んだことに気づいた。

 南部の戦場にはあちこちに遺体が転がっていて、それを踏み越えながら逃げた、という体験を自衛官に語り、沖縄が再び戦場となることを許さない、という意志を強い口調で語っていた。

 95歳の高齢者を炎天下にさらしながら、ゲート内の事務所ではクーラーが効いているだろう部屋で、自衛官が要請の様子を監視し、カメラに収めていた。

 沖縄戦を体験した高齢者が、話をしたいといっていることは、事前に自衛隊に伝えていた。

 それでもこういう対応しかしない。もっと配慮があってしかるべきだ。これで、沖縄県民を守る、などとよくも言えたものだ。

 第15旅団に渡した要請文を以下に載せる。

 

 第15旅団のホームページから旧日本軍・牛島満司令官の辞世の歌を削除することを求める要請文

 陸上自衛隊第15旅団はホームページの「第15旅団沿革」に「初代桑江群長沖縄県本土復帰に伴う訓示」を掲載しています。その中で沖縄戦を指揮した第32軍牛島満司令官の辞世の歌が引用されています。

 初代群長・桑江良逢氏は陸軍士官学校を卒業し、アジア・太平洋戦争においてはメレヨン島の中隊長を務めていました。敗戦後は警察予備隊から自衛隊に入っていますが、「英霊」「散華」という言葉を使い、牛島司令官の辞世の歌を紹介する「訓示」は、旧日本軍の思想・価値観を克服しえないままだった、としか言えません。

 沖縄戦は「本土決戦」準備のための時間稼ぎとして、第32軍によって持久戦が行われました。5月末に首里の司令部壕から第32軍が南部に撤退することにより、軍民混在の戦場で多大な犠牲が生じました。もはや勝ち目のない戦況でありながら、あえて戦闘を長びかせ、住民を巻き込んで「玉砕」=全滅の道を選んだのが第32軍であり、牛島司令官には沖縄の住民に犠牲を強いた大きな責任があります。

 しかし、牛島司令官の辞世の歌には、そのような認識、反省はかけらもありません。島の青草(青人草=人民)は枯れたのではありません。国体護持を最優先する天皇や軍部、政治家らの誤った判断で殺されたのです。何が「皇国の春に甦らなむ」でしょうか。住民や兵士は永遠の死を強制されたのです。敗戦後、日本から切り離された米軍支配下の沖縄で、遺族たちがどれだけ苦しい生活を強いられたか。自衛隊の皆さんは沖縄の歴史を学んでいるのでしょうか。

 沖縄戦において旧日本軍は、各地で住民虐殺や壕追い出し、食料強奪を行いました。また、米軍に対する恐怖心をあおり、捕虜にならないよう住民に手榴弾を渡して「集団死」を強制しています。「軍隊は住民を守らない」「米軍よりも友軍(日本軍)の方が怖かった」。これらは戦後の沖縄で日常的に語られた言葉です。

 1972年5月15日の施政権返還に伴い、沖縄に配備された自衛隊になぜ激しい反発や抗議が起こったか。それは沖縄戦を生き延びた住民の目に、自衛隊の背後に立つ旧日本軍の姿が見えたからです。沖縄戦において旧日本軍が住民に何をしたか。歴史の事実を直視し、反省するなら、牛島司令官の辞世の歌をホームページで掲載することはできないはずです。

 沖縄戦体験者が少なくなり、自衛隊は沖縄に定着した、もう何をやっても大丈夫、と考えるなら大きな間違いです。住民が評価するのは不発弾処理や急患移送、災害救助などに対してであって、自衛隊が軍隊としての本質をむき出しにするとき、住民も自衛隊に対する認識を変え、反対と非協力の意思を示します。

 旧日本軍と自衛隊は違うというなら、桑江群長の「訓示」という形であれ、旧日本軍司令官の辞世の歌をホームページに載せるべきではありません。即座に削除することを求めます。

 


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