6月17日付の県内紙は、大浦湾側の埋め立てに使用する土砂を辺野古側の埋め立て地に仮置きする問題について報じている。
沖縄防衛局が4月28日付で100万立方メートルを造成する工事の入札公告したことが発端だが、浜田防衛大臣は仮置きについて認める発言をしたと報じられている。
この土砂がどこで使用されるかについては、メディアはもっと事実を調べ、掘り下げてほしい。ただ、現在の土砂陸揚げと投入の状況を見ると、すでに仮置きは始まっている。
上の4枚の写真は6月12日に撮影したものだ。
辺野古側の埋め立て工区は、土砂投入予定の94%が終了したとされ、現在はK1~K3護岸側の工区に土砂の投入が行われている。
この日も、午前10時24分頃に豊原の高台から見た時には、K1護岸近くの1か所に土砂が投入され、土砂を運ぶトラックの数は少なかった。
それに対し、午後3時38分頃に瀬嵩の森から大浦湾の様子を見ると、K9・N2・K8の三つの護岸に計5隻のランプウェイ台船が接岸し、土砂の陸揚げが行われていた。
時間帯は違うが、辺野古側埋め立て工区に投入される土砂と、大浦湾の三つの護岸から陸揚げされる土砂の量には、大きな差があるのは明白である。
それでは余分に陸揚げされた土砂はどこに行ったのか。辺野古崎周辺の作業ヤードに仮置きされていると思われる。
上の写真は今年の1月25日に、下の写真は胴6月12日に、瀬嵩の森から辺野古崎の作業ヤード付近を撮影したものだ。大量の土砂(岩ずり)が仮置きされているのが分かる。
大浦湾側の工事については国と沖縄県で係争中であり、仮に国が勝訴して工事を進めるにしても、軟弱地盤の改良に何年もかかり、埋め立て工事がすぐに着手できるわけではない。
かといってその間、ガット船やランプウェイ台船を遊ばせるわけにはいかない。請負業者をつなぎとめる必要があるし、辺野古側のさらなる嵩上げや、辺野古崎周辺の新たな埋め立ても行われるかもしれない。
いずれにしても、こうやって無理やり進められる新基地建設工事は、まったくの予算の無駄遣いであり、自滅的浪費でしかない。
あと十数年後の東アジアの情勢はどうなっているか。軍事技術はどう進歩し、戦術はどう変化しているのか。滑走路の短い辺野古新基地は普天間基地の「代替」たり得るのか。
疑問はいくらでも湧いてくる。たとえ新基地ができなくても、米軍は普天間基地を使い続け、基地利権に群がる業者と政治家は儲かる。そして沖縄の住民は苦しみ続ける。
この腐った構図を叩き潰さなければ、貧困と少子化の連鎖は加速し、苦しむのは沖縄人だけではない。そんな将来を望むのか。