ひと月ほど前、久しぶりにピージャーガーに行った。子どもの頃、家族で泳いだり、ミナー(貝)やガシシ(シラヒゲウニ)を採りに行った砂浜で、崖の下に湧水があり、岩を削って樋が作られていることから、樋泉(ピージャーガー)と呼ばれている。
私が子供のころに比べて水量はかなり落ち、訪ねる人も少なくなって樋のまわりにシダが茂ってしまった。何年か前に溜まった石を片づけたのだが、また埋まってしまった。仲宗根部落のタキヌウガン(嶽の拝み)で回ってくる拝所でもあるので、清掃をしなければ、と思った。
ピージャーガーの前や周辺は岩場になっている。かつてはこの付近も砂浜だった。西側に人工ビーチを造ったため潮の流れが変わり、砂が流出してこうなってしまった。見るたびに腹立たしくてならない。
辺野古に新基地を造るため北部地域に振興策として金がばらまかれた。その金でもともと砂浜がある場所を破壊して、人工ビーチを造るという愚を犯したのだ。「村民の浜」という名前が付けられているが、どれだけの村民が利用しているか。ぅわーばいぐとうぅしち、わたむげーてぃならん。
ピージャーガーの東にはウッパマ(大浜)とフイジマ(古宇利島)が見える。フイジマにはザン(ジュゴン)にまつわる昔話がある。かつて今帰仁の子どもたちは、その昔話でザンの存在を知った。この海でザンが泳ぐ日は再び来ないものか。
近くの崖の下には野生のバナナが生えている。実の中はサニ(種)だらけでサニバナナと呼んでいる。食用のバナナは改良されて種が小さくなっているが、こちらは種が大きくて食べられない。バナナはもともとこうだったのか、と分かる。
サシクサの花にオオゴマダラがとまっていた。1997年に仕事で宮古島に赴任した時、居酒屋でサシクサのおひたしがお通しで出たので驚いた。抗酸化作用の成分が含まれていて体にいいらしい。一年中咲いているので、蝶や蜂には有り難い植物だろう。
実家のパッションフルーツの花と実。今年は例年以上に実っている。大した手入れをしなくてもよく実るので有り難い。