11日に森本敏防衛大臣が来県し、仲井真弘多知事や佐喜真淳宜野湾市長と対談した。その際、森本大臣は9月6日に米国で起きたMV22オスプレイの緊急着陸について、車のチェックや自転車の押し歩きをたとえに使い、反発を買っている。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-196790-storytopic-3.html
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-09-12_38878
報道を見ると、問題を矮小化する森本大臣の発言に、仲井真知事もさすがに気色ばんでいる。オスプレイだけでなく森本大臣もかなり欠陥があるようで、仲井真知事や佐喜真市長の「理解を求める」どころか、暴言を吐いて逆に反発を煽っている有様だ。原因は口が滑ったという人為的なミスなのか、自衛隊出身で米国隷従の軍事専門家という構造的ミスなのか、おそらく両方なのだろう。
前にも書いたが、オスプレイが公園や学校のグラウンドに緊急着陸し、下方に生じる激しい風圧や高温の排気熱に、逃げ足の遅い子どもやお年寄りがさらされることを想像してみるといい。緊急時に都合よく人のいない空き地を沖縄で見つけられるか。路肩に車を止めるのとは違うのだ。オスプレイを車や自転車と同列に扱う森本大臣の愚劣さは明白である。
オスプレイが飛ぶその下で暮らさなければならない沖縄県民と森本大臣との間には、「安全」という言葉の認識、感覚に埋めようのない開きがある。オスプレイの「安全」について森本大臣と県民が「理解」を共有することなど、もはやあり得ない。森本大臣にとって優先すべきは米国・米軍の利益であり、沖縄県民の命や生活ではないのだ。
今年6月に米国フロリダで起きたオスプレイの墜落事故に関しても、9月12日付琉球新報の社説が的確な批判を行っている。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-196789-storytopic-11.html
沖縄の空を民間機が複数で編隊飛行することはない。編隊飛行中に前方機に近づきすぎ〈エンジン排気で発生する後方乱気流で揚力を失って墜落した〉という事故原因は、実戦に即した訓練を行わなければならない軍隊特有のものだ。
普天間基地の危険性を否定するために、市街地にあることだけに焦点をあて、伊丹空港や福岡空港など民間空港と同列に論じる者がいる。それは編隊飛行やタッチアンドゴー、緊急発進などが行われる軍事空港(基地)特有の危険性を見ていないか、意図的に目を逸らしている。
「普天間は特に危険ではない」というマグルビー米総領事や、オスプレイを車や自転車と同列に扱う森本防衛大臣の姿勢は、目の前にある危険から目をそらすことで的確な対処を怠り、事故の可能性を余計に高めることに繋がりかねない。基地の責任者たちのこのような姿勢自体が極めて危険なのであり、けっして許してはならない。