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Channel: 海鳴りの島から
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オスプレイ配備反対県民大会を前に

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 MV22オスプレイに配備に反対する県民大会まで2日に迫ったが、ぎりぎりまで引き延ばしたうえで仲井真知事が不参加を表明した。過去の県民大会でも、ぐずぐず参加をためらい、支持者らの突き上げでやっと参加してきた仲井真知事だったが、今回は翁長那覇市長らの説得も効果がなかったようだ。オスプレイ配備反対について、県民の先頭には立ちません、と自ら宣言したわけで、一括交付金など予算面の配慮で政府と裏取引をしたか、識名トンネル問題で政府に弱みを握られ、縮み上がってでもいるのだろう。
 仲井真知事にとって、普天間基地の「県外移設」など選挙に勝つための方便にすぎず、高江のオスプレイパッド建設や先島への自衛隊配備を推進しているのが実態である。今回の県民大会不参加を機に、仲井真知事への誤った幻想を払拭したほうがいい。こんな知事などあてにしないで大会を盛り上げ、その後さらに市民一人一人が主体的かつ持続的に運動を創り出していくことが問われている。

 以下のやりとりは、2012年8月27日付沖縄タイムスに「異論抗論」として掲載されたものです。

 ー垂直離着陸輸送機MV22オスプレの配備に反対する県民大会が9月9日に開かれる。
 「大会は手段であり、目的ではない。大会の成功だけでなく、目的を実現しなければならない。1995年以降、大きな県民大会が3回あったが、パターンが決まっている。実行委員会の各代表が発言し、決議をあげて要請団が政府に行く。県民大会までは自分たちの主体的な運動だが、政府に要請する段階で、相手の土俵に乗ることになる。閣僚や官僚は深刻そうな顔をして、沖縄県民の声を重く受け止めます、と答弁するが、実質的には手を付けない。それが従来のパターンだ。同じパターンをくり返してはいけない」
 ーそれを超えるには。
 「95年の『10・21』大会は日米両政府に衝撃を与えた。両政府とも、もしかしたら日米安保体制が脅かされるかもしれないと思ったはずだが、そこで終わってしまった。両政府が予想したよりも沖縄県民は自制したというか、激しいことはしなかった」
 「その後の2回の県民大会で、沖縄人はどこまでやるか、どこまではやらないか、日米両政府は学習している。だから要請だけにとどまれば、想定内のこととして処理することができる。沖縄人は行動パターンを分析されていることを自覚しないといけない。過度の抵抗をしないように秩序を内面化させられている。それを超えるためには想定外のことをやるしかない」
 ー想定外のこととは。
 「その前に、なぜ米軍が沖縄にいるのかを考えたい。日本の思いやり予算で手厚い処遇を受け、地位協定でも優遇されている。『復帰』前から一貫して、米軍が好きなように、自由に使える基地だからこそ、沖縄にいる。沖縄はリゾート地でもあり、県民も暴力的な姿勢は示さない」
 「世界に展開する他の米軍基地と比べ、米軍は沖縄をどうみているか。使い勝手がよく、住み心地がいいのなら、米軍はいつまでも沖縄にいる」
 ー居心地を悪くすればいいということか。
 「それが第1だが、思いやり予算、地位協定は国会で多数の意思がないと変えられない。しかし、変えようとする政党は圧倒的に少数だ。政府も変える意思はない。沖縄への公正さが無視され、民主主義ではなく数の暴力と化している。『沖縄差別』という声が上がるのも当然のこと」
 「普天間基地の県外移設も可能性はゼロだ。移設するなら北部九州しかないはずなのに、仲井真知事も県内の政党も具体的に提起しない。どこまで本気なのか。もはや移設ではなく撤去運動を進めるべき」
 ー想定外の行動とは。
 「水道や電気を止める方法が提案されているが、法的に限界がある。いま毎週金曜日」の夕方に首相官邸前でデモが行われている。70年安保を境に日本ではデモや集会が減少していったが、沖縄では当たり前のように行われてきた。ただ、『市民目線』で見るとどうか。週1回でもいいから、市民が幅広く参加しやすい曜日、時間帯に普天間基地のゲート前に集まり、エネルギーを集中させて声をあげてはどうか」
 「9月9日の県民大会のあと、参加者の1割でもいいから自発的に普天間基地の大山ゲート前に集まり、米軍に見えるような形で抗議する。基地機能に支障が出るくらいの居心地の悪さを与えなければ、米軍も日本政府も本気で考えようとはしない」
 ーオスプレイ配備に沖縄がどう対応するか。分水嶺になるような気がする。
 「政府はオスプレイを普天間から飛ばして県民に恐怖感を与え、辺野古『移設』を進める圧力にしようとしている。仮に辺野古に『移設』されれば、半永久的に沖縄に固定される。県民は、やはり現実は変えることができないと挫折感、無力感に陥り、あきらめる。それが一番怖い。政府はそれを狙っている」
「沖縄の基地抵抗運動は住民による直接的な行動が力となり、状況を動かしてきた。住民がなりふりかまわず、体をはって抵抗するとき、米軍も無理押しはできない。辺野古や金武、高江など生活者の必死な行動が、大きな力になってきた」
 「私たちは過去に学ばなければならない。運動方針を政党や労組、市民団体の幹部だけで決めるのではなく、各地の婦人会や青年会、学生が自発的に討論し、下から声を上げていく。これは『復帰』前は普通にやっていたことだ。そういう市民の自発性、主体性、必死さが問われている」
 


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