21日(木)は波が高くうねりもあったので、カヌーによる行動はやめて船から工事の様子を見た。K8護岸は50メートルほど建設が進んでいたが、クレーン車やバックホーは辺野古岬の陸上にあり、工事は行われていなかった。
そのほかK1~K4護岸の上にも作業員の姿はなく、陸上部を含めてこの日は埋め立てにかかわる工事は行われていなかった。
辺野古側の様子を見たあと、長島の間を抜けて大浦湾に出た。ガット船は第二十八旭丸、第八藤進、吉福善丸、第百三十六伊勢丸の4隻が停泊していた。喫水線を見るとどの船もまだ土砂を積み込んだままのようだ。
第八藤進では、波が高いなか船員がクレーンに上って作業を行っていた。
ランプウェイ台船にも土砂が載っていた。土砂を陸揚げする場所がK9護岸一つしかないので、安和の琉球セメント桟橋から運んできても、土砂をさばけない状態となっている。一方で、25日の②工区への土砂投入に向けては、十分過ぎるほどの土砂が用意されている状態となっている。
上の写真の手前に見えるのは、汚濁防止膜である。ケーソンを一時保管する台座を海底に造るため、瀬嵩側の海域に設置されたものだ。しかし、この付近の海底も軟弱地盤であることが明らかとなり、台座を造る工事の見通しは立っていない。
この汚濁防止膜を設置するために、14tのコンクリートブロックが何十個も沈められた。無駄な作業だったということだが、そのために海底のサンゴや生物が押し潰された。ケーソンを保管する計画が崩れたのなら、コンクリートブロックと汚濁防止膜は撤去して、原状回復を図るべきだ。
K9護岸ではランプウェイ台船がほぼ接岸した状態で停泊していた。土砂がわずかに残っているようで、明日は午前の早い段階で台船の入れ替えが行われそうだ。周辺の崖の緑の中に白いユリの花が見えた。今年は暖冬でツツジやユリなどの開花が早い。
今帰仁村の運天港付近でジュゴンの死骸が発見されたことが報じられている。残念でならない。今帰仁村ではザン(ジュゴン)にまつわる昔話が伝えられていて、私も子どもの頃に聞いた。古宇利島周辺は昔からジュゴンの生息地として知られていた。
ほかの2頭も行方知れずとなっている。2014年夏に辺野古の海で海底ボーリング調査が始まり、翌年には大浦湾でも調査が行われた。以後、今日までコンクリートブロックの投下や護岸建設が進められ、作業船や海保のゴムボートが何十隻も走り回る状況となった。それによって3頭のジュゴンは辺野古の海、大浦湾に近づくことができなくなった。
もし新基地建設工事がなければ、ジュゴンは今でも辺野古の海と大浦湾で海草を食べ、静かに生き続けることができただろう。今帰仁村で発見されたジュゴンの死因はこれから明らかになるだろうが、それは単なる自然死ではない。新基地建設によって棲み処や餌場を奪われ、追い出されたことによる死であり、日本政府に殺されたのと同然なのだ。
貴重な生物の生息地を奪い、破壊する新基地建設をこれ以上進めさせてはいけない。