上の4枚の写真は2016年の2月16日と3月1日のものだ。当時、長島の近くではクレーン付き台船が海底ボーリング調査を長期間にわたって行っていた。
カヌーチームはオイルフェンスやフロートを超えて抗議行動を繰り返していたが、ほかの調査地点に比べて極端に期間が長いので、その理由について話し合うこともあった。
これだけ慎重に調査を行うからには、海底に何か問題があるのだろう、と考えるのは自然なことだ。素人考えで、沖縄島はサンゴが隆起してできた石灰岩質の島だから鍾乳洞が多い。海底に大きな空洞があり、地盤が弱いのではないか、などと想像したりした。
翁長雄志前知事が埋め立て承認を取り消し、国と裁判になった。両者が和解して工事が一時中断している期間、クレーン付き台船は長島近くの調査地点から陸寄りに移動して待機していた。その間も、海底ボーリングで使用するガイドパイプは調査地点の海上に残されていた。
上の4枚の写真は、2016年3月7・29・30日の写真だ。工事が中断していたので、カヌーチームは松田ぬ浜を出発し、辺野古先から大浦湾に出て、停泊中のクレーン付き台船やスパッド台船の様子を見ながら、カヌーを漕ぐ練習に励んでいた。帰り道は長島沖のガイドパイプを目印にしていて、普段は遠くからしか見られないパイプを観察した。
一番下の写真は、そのときに撮ったガイドパイプの海中の様子だ。今ではこの下の海底に厚さ60メートルに及ぶ泥が溜まり、マヨネーズ状の軟弱地盤であることが明らかとなっている。その報道に接したとき、あの頃、長島沖で執拗に調査していたのはこれが理由だったのか、と腑に落ちた。
当時、その事実が明らかになっていたら、その後の工事の進行は大きく変わっていただろう。それを恐れて日本政府・沖縄防衛局は、軟弱地盤の問題を隠し続けた。その深刻さは政府の予想を超えていただろう。地盤の改良工事に莫大な予算と期間の延長が必要となっている。それでも安倍政権は無理を押し通そうとしている。
もはや狂気の沙汰だ。予算が増加すればするほど、ゼネコンとそれと結びついた政治家が儲かる、とでも考えているのか。そうやって予算を浪費するほど日本の財政は余裕があるとでもいうのか。それを教育や福祉に回せば、どれだけの市民が救われるか。
これは沖縄県民だけの問題ではないはずだ。辺野古新基地問題は、すべての日本人にとっても自分事なのだ。