7月15日の県内テレビニュースで、フィリピン墓参団が那覇空港を出発したことが報じられていた。戦前、移民や出稼ぎでフィリピンに行き、戦争に巻き込まれて亡くなった肉親をしのび、今年も遺族が現地で慰霊祭を行うという。
http://www.qab.co.jp/news/2012071536694.html
6月23日に摩文仁の平和祈念公園を訪ねた。各県の慰霊塔がならぶ一角にダバオ之塔がある。塔には次の「建立のことば」が刻まれている。
建立のことば
第二次世界大戦中フィリッピ
ンミンダナオ島ダバオにおいて
戦没された幾多の御霊並びにダ
バオ開拓途上犠牲になられた先
亡同胞等二万余柱の御霊に対し
限りなき思慕の情を寄せ供養す
るため、摩文仁の聖地を選び
ダバオ関係者の真心によって、
ここに「ダバオの塔」を建立す
御霊よ、安らかにお眠り下さい
昭和四十七年三月二十八日
ダバオ会
沖縄戦慰霊の日のこの日、ダバオ之塔に手を合わせる家族の姿があった。何年か前まで子どもたちの横には、おじー、おばーの姿があったのだろう。ダバオの地で暮らし、戦争を生き延び、沖縄に帰ってきた人たちが亡くなっても、その子や孫たちに移民と戦争を経た家族の歴史が伝えられていく。
雑誌『世界』6月号が〈沖縄「復帰」とは何だったのか〉という特集を組んでいる。同誌にはジャーナリスト・加治康男氏の「グアム移転見直しで浮上する米軍のフィリピン回帰」という評論も載っている。67年前の戦争や移民の歴史だけでなく、現在の米軍基地問題においても沖縄とフィリピンは深い関わりがある。沖縄にオスプレイが配備されれば、米海兵隊は同機を使ってフィリピンでも作戦を展開するだろう。そのことも視野に入れながら、オスプレイ配備反対の運動を進めたい。