10日に投開票がおこなわれた沖縄県議会議員選挙は、与党21議席に対し野党27議席という結果になり、仲井真知事が待望していた与野党逆転はならなかった。自民党、民主党が1議席減らす一方で、社民党、社大党は1議席増やしている。党派別の当選数は以下の通り。( )は改選前の議席数。
自由民主党 13(14)
社会民主党 6(5)
日本共産党 5(5)
民主党 1(2)
公明党 3(3)
沖縄社会大衆党 3(2)
そうぞう 1(1)
国民新党 1(0)
無所属 15(15)与党系5名。野党・中立系10名。
民主党は那覇市選挙区で前回18,000票余の最多得票でトップ当選した候補者が、今回は5,701票しか獲得できず落選した。2009年9月に民主党連立政権が誕生してから初めての県議選であり、マニフェストを投げ捨てて変節を重ねた民主党に対する有権者の落胆と反発が現れている。
この結果は当然、年内にも行われる可能性がある衆議院選挙に反映する。民主党県連は野田政権および党中央に対し、7日に開いた記者会見で打ち出した「全面対決」を実行しなければ、県民から完全に見切りをつけられるだろう。
仲井真知事に関していえば、腹の中では次のようなシナリオを描いているのではないか、と私は思っていた。
県議選での与野党逆転 → 衆議院選挙で自公政権復活 → 2年後の名護市長選挙で稲嶺市長を倒し、地元の要請という形で普天間基地の辺野古「移設」へ転換。
辺野古「移設」はもう不可能だと言われる。確かに今の沖縄の状況を見れば実現性は低い。しかし、日米両政府が正式に断念を表明しないかぎり、計画は続いているし油断はできない。仲井真知事は「辺野古は難しい、時間がかかる」とは言っても、「県内移設反対」とは決して言わない。そういう知事をどこまで信用できるか。「県外移設」も口だけであり、実現に向けて具体的に行動はしていない。最後は国が強行突破することもあり得る。
与野党逆転がくい止められ、社民党、社大党の議席が増えたことは、それだけ仲井真知事の基地政策にチェック機能がはたらくということだ。選出された野党議員たちは、普天間基地「移設」問題はもとより、高江ヘリパッド(オスプレイパッド)建設や先島への自衛隊配備など基地問題全般、および第32軍司令部壕説明板問題でも知事を厳しく追及してもらいたい。