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Channel: 海鳴りの島から
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沖縄戦を考え、その教訓を受け継ぐために。

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 3月28日は71年前に渡嘉敷島で強制集団死(集団自決)が起こった日である。今日は所用があってカヌーの活動は休んだが、日に何度も慶良間諸島で起こった惨劇のことを思った。

 1945年3月26日、慶良間諸島に米軍が上陸し、沖縄における地上戦が始まった。慶良間諸島に配置されていた海上特攻艇マルレは出撃することなく破壊され、日本軍は山中に逃れる。米軍の攻撃を受けて混乱する中、一般住民にも配布されていた手榴弾や鎌、剃刀、鍬、石などを使い、肉親や村人同士が殺しあうという悲劇が起こった。

 逃げる場所がない島の中で、米軍に捕まえれば女は凌辱され、男はいたぶられて殺される。そのような恐怖感が植え付けられ、生きて虜囚の辱めを受けず、という戦陣訓の一節が住民にも流布される中で、特攻の島は玉砕=全滅の島へと化していく。 

 日本軍による命令・強制はもとより、沖縄が歩んできた(歩まされてきた)日本への同化の歴史、教育、メディアの問題など、沖縄内部の問題にも私たち沖縄人は目を向けなければならない。大江・沖縄戦裁判が起こり、右翼勢力がこの問題を政治利用する中で、ともすれば視点が日本軍による命令・強制の問題に集約されがちだ。

 しかし、同裁判以前の沖縄では、むしろ自らの内なる問題を剔抉する形で、日本=ヤマトゥに過剰同化していった沖縄人の意識が考察されていた。国家とは何か、軍隊とは何か、という問題にまで掘り下げて、強制集団死が起こった原因が追究されていた。

 その成果を受け継ぎながら、そして、大江・岩波沖縄戦裁判の過程で明らかにされた成果を生かし、掘り下げ、沖縄戦において発生した強制集団死(集団自決)の問題を私たちは考えていく必要がある。

 沖縄では1年中、沖縄戦について考えられていると言っていい。それでも、これから6月23日までの期間は、特に考えるべき時期だろう。私自身、改めて学び直していきたいと思う。「軍隊は住民を守らない」という血であがなった教訓をより深く理解し、受け継いでいくために。

 


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