２２日は午後からキャンプ・シュワブ・ゲート前の抗議行動に参加した。早朝、資材を積んだ工事車両が新ゲートから入り、現場で抗議していた皆さんは機動隊に取り囲まれて身動きが取れない状態となったようだが、午後からはそのような動きはなかった。テントでは二見以北１０区の皆さんや県職労、カヌー隊、弁護団などのあいさつが続いた。
連日の機動隊の暴力的弾圧を知って、多くの人がゲート前に集まった。２００人以上いたのではないかと思う。海上保安庁のゴムボートがすべて陸揚げされて浮き桟橋も片づけられ、巡視船も姿を消し、予想されていたブイ設置などの作業が中止になったということで、テント村リーダーの山城博治さんもテンションが高かった。参加者のあいさつに続いて歌あり、ダンスあり、カチャーシーありで、とても賑わっていた。
３時頃から午後の抗議が行われた。新ゲートまでデモをして折り返し、ゲート前で集会を開いて、海上での作業を中止に追い込んだことの意義が確認された。午後からは天気が回復し、ブイ設置などの作業を強行しようと思えばできたはずだ。にもかかわらず、海保はゴムボートをすべて陸揚げし、浮き桟橋まで片づけている。午前中、海が荒れたといっても陸揚げしなければならないほどの波ではなかった。カヌー隊との衝突を回避しようという政治的判断が働いたのだろう。
前日２１日に衆議院が解散し、来月１４日には選挙が行われる。県知事選挙で仲井真氏が大敗したことを考えれば、公約を破った自民党議員たちへの県民の反発から、衆議院選挙も政府・自民党県連にとって厳しい結果が予想される。そういう中、ゲート前では２日続けて県警機動隊の弾圧による怪我人が出ていて、沖縄戦を体験した島袋文子さんが救急車で運ばれる事態も起こっている。
沖縄との関わりが深い元外交官の岡本行夫氏が、新基地建設を強行した際、沖縄戦を体験したお年寄りに怪我人が出たときの県民の反発について言及していたことを思い出す。２２日に海保の保安官が船団やカヌー隊の代表を話しているときも、波が荒い中でカヌー隊が海に出ていることに神経質になっているのが目についた。
県知事選挙で示された民意を踏みにじって作業を強行していることに、ゲート前でも海上でも激しい抗議行動が行われている。それが政府・防衛省や海上保安庁に強い圧力となっているのは間違いない。体を張った抗議行動がなければ、ブイやフロートの設置などの作業は行われていたはずだ。
８月１５日にフロートを設置した際、海保が抗議する市民に暴力をふるい怪我人が出た。メディアに写真付きで報じられることによって、海保は社会的批判にさらされた。その批判は当然、辺野古埋立を容認した仲井真県政や、海保に指示している安倍政権にも向けられた。
同じことがくり返されたらどうなるか。県知事選挙の大敗に続き、衆議院選挙でも県内で自民党議員が大敗すれば、米国の評価を何よりも気にする安倍政権、外務省には大きな打撃となる。表向きは平静を装っても、県知事選挙の結果は安倍政権にとって大きなダメージとなっている。
ゲート前のテントの片づけが終わったあと、辺野古の浜の様子を見に行った。水平線には巡視船の姿はなく、フロート付近に海保のゴムボートが３艇停泊していた。月曜日以降の動きがどうなるかは分からないが、現場での抗議行動が弱まり、工事を強行しても大した抵抗はない、と判断すれば、政府・防衛省は沖縄防衛局にゴーサインを出す。そうでなくても遅れを取り戻すために強行するかもしれない。予断を持たずに、目の前の現実に注意し続けるしかない。
浜からの帰りに島袋文子さんの家によってお見舞いをした。元気に振る舞っていたのはよかったが、機動隊に倒されたときの様子を聞くとあらためて怒りが湧いた。作業車両に抗議してサイドミラーをつかんでいたら、機動隊員が指を一本一本引きはがし、同時に後ろから押していた機動隊員が退いたので、仰向けに倒れて地面に頭を強打したという。
私は沖縄戦で人の血を飲んで生き延びたんだから、（大きな怪我にならなかったのは）戦争で死んだ人達が私のことを守ってくれたんだはず…。気丈にそう話していたが、沖縄戦体験者が基地のゲート前で抗議に立ち上がっている。お年寄りに無理をするなと言うのは簡単だ。しかし、無理をさせているのは誰なのか。もっとゲート前に人が集まれば無理をしなくてもすむのに…と思う。
県警機動隊の見境のない暴力が言語道断なのは言うまでもないが、現場に通う沖縄戦体験者たちを、より若い世代がもっと支えていきたいものだ。