高江で進められているヘリパッド建設工事に反対する住民を国が訴えたスラップ裁判で、高江区住民の伊佐さんの上告を最高裁が棄却した。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=73377
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-227168-storytopic-1.html
http://www.youtube.com/watch?v=tUYWGrrTt8g
東村や国頭村などやんばるの森には、ノグチゲラやヤンバルクイナ、ヤンバルテナガコガネ、リュウキュウヤマガメなど、世界でもここにしかいない貴重な生物が生息している。本来ならやんばるの森全域が国立公園に指定され、世界自然遺産に登録されて、厳重に保護されるべき所だ。しかし今そこは、米軍の人殺しのための訓練場として使用され、新たに森を切り開いてヘリパッド(着陸帯)の建設が進められている。
普天間基地を飛び立ったMV22オスプレイは、キャンプ・ハンセンやキャンプ・シュワブ、北部訓練場、伊江島補助飛行場と、沖縄島中北部の米軍基地を移動しながら訓練を行っている。住宅地上空をヘリモードや転換モードで飛行し、夜間訓練や吊り下げ訓練も行われている。沖縄県民にとっては日常生活が、常に米軍演習の事故の危険にさらされている状態にある。それは動植物にとっても同じだ。
沖縄の反基地運動はいつの時代でも、自分たちの生活を脅かされる住民の自発的運動として起こってきた。だれだって安全で快適な場所で暮らしたいし、子どもを育てたい。沖縄戦から69年が経っても軍事基地、戦争と隣り合わせの生活を強いられ、米軍の事件・事故がくり返されてきた沖縄の歴史と現状を見れば、自分たちが住む場所にヘリパッドが造られようとしていることに対し、これではいけない、と立ち上がるのは当たり前のことだ。
沖縄に米軍基地の負担を集中させて、それに異議申し立てする住民には、政府と司法が一体となって抑えつける。それが今のこの国のあり方だ。多くの人が指摘しているように、6月半ばのこの時期に上告棄却を打ち出したのは、高江のヘリパッド工事再開や辺野古のボーリング調査が間近に迫っていることを意識し、反対する住民を萎縮させる効果を狙っているのだろう。
だが、沖縄の歴史を振り返れば、ヤマトゥのように戦後民主主義や日本国憲法を与えられることもなく、沖縄の人々は米軍の占領下で、自ら権利を主張し、一つひとつ闘い取ってきたのだ。米軍の無法状態への怒りがコザ決起として爆発したこともあった。法でがんじがらめに縛って反対運動を封じようとしても、基地のもたらす重圧が変わらなければ抑圧が大きな分、反発が噴き出すときのエネルギーも大きくなるだけのことだ、
高江の上空を飛ぶオスプレイの映像を見てほしい。この機は小学校上空を低空飛行して、北部訓練場メインゲートに北上してきた。最高裁の判事たちは、オスプレイを実際に見たこともなければ、沖縄の米軍基地の状況をつぶさに見たこともないだろう。無知と無理解による判断は、ヤマトゥと沖縄の断絶を深めていくばかりだ。
https://www.youtube.com/watch?v=399fqJtkuNk