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Channel: 海鳴りの島から
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N4−2ヘリパッド建設工事はまだ終わっていない。

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 3月28日の高江では前日に続き、丸政工務店によるプレハブ事務所の解体、撤去作業が行われた。大型クレーン車やトレーラー車、ユニック車などでプレハブ部材などを北部訓練場メインゲートから搬出していた。午後2時50分頃にはすべての作業を終えて、作業員たちも撤収した。私は別の場所で作業をしていたのだが、メインゲートにいた人の話では、最後に出てきた責任者が「もう終わった。頑張ってください」という言葉を残して去っていったとのこと。

 丸政工務店は北部訓練場から引きあげたが、N4−2のヘリパッドはまだ完成していない。接地帯(着陸帯)と取付道路周辺に切り芝を植えたのは3月に入ってからであり、まだ活着していない。そのため、晴天が続くと撒水に来ないといけない、と丸政工務店の作業員は話していた。他にも未完成である理由が、27日に行われた県環境保全課による立ち入り調査で以下のように明らかとなっている。

?県赤土等流出防止条例に違反し、新たに370立法メートルの赤土が出た。そのうち240立方メートル分は通知されていた仮置き場に敷き均し、残り130立方メートル分は80メートルほど離れたた場所に、事前通知なしに違法な仮置き場を作り、まわりを土のうで囲んでシートをかぶせ保管してあるという。ノグチゲラの繁殖期にあたる3〜6月は重機を使った作業ができないので、7月以降に現場に敷き均し、芝生を貼る予定という。

?N4−2ヘリパッドへの進入路(取付道路)の上層路盤が長さ7メートル、幅4メートル、まだ敷かれていない。

?ヘリパッド入口に設置する希少動物侵入防止柵とその出入り口がまだ施工されていない。

?ヘリパッド工事で伐採した木が、接地帯近くに山積みとなっている。

 以上を見ても明らかなように、N4−2ヘリパッド工事はまだ終了していない。27日の立ち入り調査の際、沖縄防衛局の職員らと話し合いを持ったが、稲葉という職員が、接地帯ができたからヘリパッドは完成した、と発言していた。しかし、これは事実を偽るものだ。稲葉氏は、接地帯にヘリが着陸できる、とも発言していたが、工事の実態を知らないで、いい加減なことを言っているにすぎない。切り芝を貼って1ヶ月も経たない段階でヘリやオスプレイが着陸したら、たちまち芝が剥がれてしまうだろう。沖縄防衛局は強引に「完成」を打ち出したいのだろうが、それが県民を欺くものであることを見抜かなければならない。

 ?については、予定外の赤土が出たこと、県への通知無しに勝手に敷き均したこと、新たに仮置き場を造ったことなど、二重、三重に条例違反を犯している。県の赤土等流出防止条例には、国が行う事業に対し罰則規定がなく、県民の目が届かない基地内の工事であることをいいことに、やりたい放題の違反行為をしているのだ。そもそも、住民の監視行動と告発がなければ、沖縄防衛局は事実を隠蔽しようとしたのであり、そのでたらめさは強く批判されなければならない。

 県環境保全課は、赤土を仮置き場に敷き均したこと、別の場所にも敷き均すことを容認するようだが、このような残土の処分方法を安易に許していいのか。想定外の残土が出たので仮置き場や近くの空き地に敷き均すという手法が、基地の外の工事でも簡単に許されるのか。北部訓練場内で行われている別の工事では、残土を基地の外に運んで処分している例もある。事前に通知しないで現場で敷き均したという行為自体が、県民に秘密裏に処理しようとしたものであり、それを追認して終わりではすまされない。

 残土に関しては、7月以降に丸政工務店が作業を行うのか、別の会社が行うのか、現時点では明らかにされていない。N4のヘリパッド建設工事では、一つ目の建設工事の際に無障害物帯で土砂崩れが起こり、赤土が沢に流出している。それを受けて二つ目の工事では、県の環境保全課による立ち入り調査が行われ、工事に際してもこれまで以上の注意が払われたはずだ。だが、最後に条例違反の問題が起こった。いずれの問題も告発によって明らかとなったものであり、沖縄防衛局の隠蔽体質や地位協定、米軍基地内の環境保全の問題まで掘り下げ、引き続き追及していく必要がある。

 ?については、27日の立ち入り調査の際にメジャーで計測している様子が見られた。

https://www.youtube.com/watch?v=2x8uX0dchmg

 同場所では重機が使える期限の2月28日夕方まで、バックホーを使って転圧作業が行われていた。しかし、完成には至らなかったようだ。設計図面では上層路盤としてクラッシャーラン(路盤補強材含む)を15センチ敷き詰め、被覆路盤材としてクラッシャーランを5センチ敷き詰めることになっている。言うまでもなく、この工事も重機を使用するので7月以降に行われる。

 ?については、希少動物侵入防止柵と出入り口も7月以降に施工されなければならない。N4地区は集落に近いこともあって、N1、H、G地区に比べて自然度が低いと言われることがある。しかし、N4地区にもノグチゲラが頻繁に姿を見せ、ヤンバルクイナの鳴き声も聞こえる。リュウキュウヤマガメやイシカワガエル、イボイモリなどの希少動物も生息しており、それらがヘリパッド内に入るのをふせぐため侵入防止柵を作る必要がある。そう判断したから設置が計画されたはずであり、実行するのは当然のことだ。

 ?については、以前に書いたように伐採した木は、ノグチゲラの人工餌場やチップにしてマルチングに利用する計画となっている。これもその通りに実行しなければならない。材木の搬出は、チエンソーやユニック車、場合によってはクレーン車も使用する必要があり、この作業も7月以降にしか行えない。すぐそばに丸太が山積みとなった状態でヘリパッドを使用することは危険であり、接地帯は使用できる、という稲葉氏の発言は現実を無視した暴論である。

 以上の点だけを見ても、N4−ヘリパッドが未完成なのは明らかである。沖縄防衛局が事実を偽って、完成した、と強弁するのなら、7月以降の作業の予算措置、執行は行えないはずだ。そして、7月以降も工事が行われ、作業員が現場に出入りするのだから、完成したとされるN4−1を含めて米軍に新たなヘリパッドを供用することはできないはずだ。

 そもそも、N4−1、2のヘリパッドは、1996年12月の沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告で、北部訓練場の過半の返還を条件に作られている代替施設である。返還がまったく進まないうちから、ヘリパッドの一部を先行使用することは許されない。SACO最終報告に従うなら、6個のヘリパッドがすべて完成したあと、過半の返還と同時並行して米軍に提供すべきものだ。

 27日の沖縄防衛局との話し合いで稲葉氏は、建物ができたら使わないとカビが生える。ヘリパッドも管理の問題があるので米軍に提供しないといけない、と話していた。ヘリパッドと建物を同列に論じること自体が詭弁である。ヘリパッドは造園業者に依頼して定期的に草刈りや撒水をさせればいいだけの施設であり、これまで通り沖縄防衛局が管理すればすむことだ。

 N4ヘリパッドは住宅地域や学校施設などに最も近く、本来は即座に閉鎖すべき施設である。3月17日には米海軍厚木基地所属のMH60ヘリがN4−1ヘリパッドに着陸している。同ヘリパッドはまだ米軍に供用されておらず、米軍はミスを認めているが、なし崩し的に使用する先触れとも見える。N4−2ヘリパッドがまだ完成していないことを確認し、N4地区のヘリパッドの先行使用を許さない取り組みを強化しましょう。

 


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