20日も前日に続き、N4のヘリパッド建設現場に作業員の姿は見えなかった。メインゲート前で監視活動を行っていると、北部訓練場の他の場所で工事をしている建設業者は、いつも通り出勤している。旧盆といっても、ウンケーや中日に休みが取れる建設業者は少ない。ヘリパッド工事の作業員が基地内で宿泊して作業をしているとしたら、それとの関係で昨日、今日と間休みを与えたのかもしれない。ただ、それは推測の域を出ない。
N4の一つ目のヘリパッドを造った大米建設の作業員は、森から工事現場に入ったりしていた。その過程で1人が森で道に迷い、上地という現場代理人がパニックになったこともあった。夏場はハブやヒメハブの危険もある。歩き馴れていないと、森の中を通って工事現場に向かうのは難しい。7月の工事再開後、何度か作業員が乗った車をメインゲートで止められて、沖縄防衛局は森からの侵入を回避し、基地内での宿泊に早々と転換したのかもしれない。
いずれにしろ、作業員の動きを止めなければ工事は進んでいく。相手の動きをつかむのは簡単なことではないが、頭と体をフルに使い、多くの時間を費やして努力していくしかない。マスコミが報じるのは絵になるような派手な場面が多い。しかし、現場で大切なのは地道な行動と分析を重ねていくことだ。炎暑が続くなか、早朝からの夕方までの行動はきつい。それでも、米軍基地のこれ以上の強化を許さないために、高江では連日、監視・阻止行動が取り組まれている。
工事が進められてはいても、その行動が作業員や沖縄防衛局に大きなプレッシャーになっているのは事実だ。実際、メインゲート前での取り組みがなければ、N4ヘリパッドの作業員たちも、他の業者と同じように19/20日に工事を行っていたかもしれない。メインゲートから容易に出入りできない状況を作り出すことが、新たなヘリパッドを造らせないために重要となっている。
N4に建設中の二つ目のヘリパッドは、県道から100メートルも離れていない。集落に最も近い位置にあり、それが完成し、運用が始まれば、オスプレイやヘリの爆音、墜落の危険が住民の生活を脅かす。米軍機は県道の上空も飛んでおり、やんばるにドライブに来た車が、事故に巻き込まれる可能性もある。さらに人だけでなく、やんばるの森に棲む貴重な動植物にも悪影響を及ぼすのである。
20日付の県内紙は、普天間基地やキャンプ・キンザー周辺で捕獲されたマングースから、高濃度のPCBが検出されたことを報じている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130820-00000003-ryu-oki
米軍基地から生じる問題は、演習にともなう事故、爆音被害、兵士による犯罪だけではない。PCBや枯れ葉剤、アスベスト(石綿)、放射能による環境汚染の被害も深刻である。日米地位協定によって、基地の金網の向こうは治外法権状態となっている。基地が汚染源となって住民が健康被害を受けても、実態解明が進まずに、県民は泣き寝入りを強いられかねない状況だ。
北部訓練場には、県民の水瓶である福地ダムや新川ダム、安波ダムなどがある。しかし、訓練場内で米軍が環境汚染につながる物質を使用したり、放置、遺棄していないかを確かめることは困難だ。オスプレイやヘリがダムに墜落したらどうなるか。N4のヘリパッド建設予定地にしても、本来は水源涵養林として保護し、森の復元を図るべき所だ。
沖縄は米軍が好き勝手にしていい軍事植民地ではない。オスプレイが使用するあらたなヘリパッド(着陸帯)の建設を許さないために頑張りましょう。