今日12月24日に開かれた「沖縄政策協議会」についてのニュースで、NHKや時事通信、読売新聞など複数の大手メディアは、仲井真知事の「環境影響評価書の提出容認」を前面に打ち出して報じている。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111224/t10014878151000.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111224-00000039-jij-pol
これらの報道に接すると、政府が予算面で沖縄に「格段の配慮」を示したことに対し、仲井真知事が「環境影響評価書の提出容認」という形で、取り引きに応じたという印象を抱くのが普通だろう。「移設計画自体には反対」という考えが付け足されてはいるが、少なくとも知事の「評価書提出容認」という姿勢が明確にされ、全国に報じられただけでも、政府にとっては大きな意義がある。
政府・防衛省は、26日以降に環境影響評価書の年内提出を強行する構えであり、仲井真知事自らがそれにGOサインを出した形だ。田中聡前沖縄防衛局長の暴言問題で県民の反発が強まるなか、県民を代表する知事であるなら、提出断念を政府に求めるのが当然であった。仮に「行政手続き」云々を言うにしても、少なくとも年内提出はやめるように言うのが、知事としての最低限の務めだったはずだ。
それを26日を前にしたこの時期に、知事自ら「評価書提出容認」を打ち出すのは、県民への裏切りであり、政府・防衛省を後押しする行為以外の何ものでもない。その対応は強く糾弾されるべきだ。
同時に仲井真知事の行為は、これまで批判されてきた基地と振興策の「リンク論」を改めて印象づけるものであり、その点でも悪質である。12月23日付琉球新報は、そのことを予想し、警告するような社説を発表していた。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185504-storytopic-11.html
今回の仲井真知事の対応を見るなら、知事が口にする普天間基地の「県外移設」という主張の内実も疑わしくなる。県知事選挙での公約をひっくり返し、仲井真知事が辺野古「移設」容認に転じることは簡単ではない。県民の猛反発を呼んでリコール運動が起こりかねず、責任追及は知事本人だけでなく、選対本部長だった翁長雄志那覇市長にまで及ぶ。翁長氏が選対本部長になった経緯や、次の県知事選挙に立候補する可能性を考えれば、仲井真知事が公約の全面撤回にまで踏み込むのは難しい。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-10-08_10992/
しかし、そういう仲井真知事のために、日本政府は抜け道を用意している。12月14日付県内紙に報じられた「埋め立て代執行可能」という政府答弁書がそれで、知事は不承認のまま「県外移設」という体面を保ち、政府が強行したという形で、辺野古新基地建設に向け埋め立て工事を着工できる。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185164-storytopic-53.html
知事は表面的に反対を口にし、裏では反対運動弾圧のために県警機動隊の出動を容認すればいい。無論、これは先読みの推測だが、そこまで警戒しておく必要がある。環境影響評価書の提出容認を打ち出すことで、仲井真知事は政府の策動を後押ししている。しかし、県民はそれを容認しない。26日以降の県庁での提出阻止行動に集まりましょう。県民一人ひとりが自らの力で、辺野古新基地建設に向けた動きを阻止するしかありません。
選挙公約をすべてひっくり返し、もはや何でもありの民主党政権は、米国に隷従の意を示すためなら、どんな手でも使うだろう。在沖海兵隊を引きとめるために辺野古新基地を建設し、行く行くは自衛隊も共用して滑走路や港湾を使用する。そういう目論見を許してはならないし、仲井真知事とすでに密約が結ばれていないか、警戒しなければならない。