24日(火)は午後から那覇市泉崎にある沖縄県庁に行き、辺野古新基地建設問題を考える辺野古有志の会とティダの会による「キャンプ・シュワブと新基地建設にかかる周辺地域住民の環境問題について申し入れ」に参加した。
最初にティダの会共同代表の大城重吉さんが申し入れ文を読み上げ、沖縄県の金城典和基地対策統括官に文書を手渡した。そのあと、有志の会とティダの会から要請があったキャンプ・シュワブ内のヘリパッドや廃弾処理場などの撤去、新基地建設の再撤回、辺野古弾薬庫の全面撤去、辺野古に県の出先機関を設置することなどについて、県からの回答があった。
県の回答は残念ながら、基地問題に関する県の基本姿勢を述べるだけの抽象的なものでしかなかった。有志の会やティダの会が指摘し、要請しているのは、住民生活を脅かしているヘリパッドや廃弾処理場、爆破訓練場、辺野古弾薬庫などの撤去という具体的なものだ。それを一般論ではぐらかしている玉城県政の姿勢には失望する。
県庁舎内にいればヘリパッドを離着陸するMV22オスプレイの爆音や廃弾処理の衝撃音を耳にすることはない。事故が発生したときに住民を避難させる基本計画すらない弾薬庫の危険性を身近に感じることもない。
沖縄島の中にある南北問題、東西問題は深刻なものだが、南の西にある多数派の那覇に住んでいれば、北の東に連続する米海兵隊基地の実態に気付くこともないだろう。キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、北部訓練場に加えて伊江島補助飛行場と、米海兵隊が実戦的な訓練を行う基地は沖縄島北部に集中している。その中でもさらに東海岸の基地密度はひどい。そういう地域に辺野古新基地が建設されようとしているのだ。
辺野古に県の基地対策課の出張所を設置してほしい、という要請もこういう現実に基づいている。辺野古新基地建設の状況を日々確認し、キャンプ・シュワブがもたらす被害に迅速に対応するだけではない。照明弾の落下事故が起こったキャンプ・ハンセンや、オスプレイの騒音、返還跡地の米軍ごみなどの問題を抱える北部訓練場、パラシュート訓練時の基地外降下が問題となっている伊江島補助飛行場など、対応すべき問題は広範囲で多岐にわたる。
県からは北部合同庁舎や北部保健所で対応しているとの回答があった。だが、いずれも場所は名護の市街地にあり西海岸だ。名護市でも西海岸と東海岸では基地被害の差がある。米軍機飛行や射撃訓練の騒音、廃弾処理の衝撃音を肌で感じ、事故に即座に対応するうえで辺野古出張所を設置することは意義のあることだ。何よりも辺野古新基地建設に反対する沖縄県の姿勢を示すことができる。
辺野古弾薬庫に関しても、新基地建設に伴う高さ制限に引っかかっていることや活断層のそばにあること、崖崩れや将来の核兵器保管の可能性、新基地と一体化した機能強化など、多くの問題を抱えている。何よりも、事故発生時に住民を避難させる基本計画が作られていないことを沖縄防衛局が認めている。
台風や大雨時の住民避難が大きく取り上げられる一方で、住民地域に隣接する米軍弾薬庫で事故が発生した際に住民の避難計画がないというのは、住民の安全をないがしろにするものだ。日本政府・防衛省、米軍の責任はもとより、沖縄県の姿勢も問われる。放置していい問題ではないはずだ。
沖縄島北部は人口が少ない過疎地域だから、米軍基地を押し付けても相対的に被害は少ない。普天間基地は市街地にあるより辺野古に置いた方がいい。日本政府の沖縄差別を口にする沖縄人の中にも「ヤンバル差別」がいまだ残っている。玉城デニー知事にあっては、ヤンバルを取り残さずに対応してもらいたい。