10月25日に韓国の光州広域市で開かれた「2019アジア文学フォーラム」に招かれ、講演をする機会があった。光州広域市で話をするのは2回目だが、主催者やスタッフ、沖縄文学研究者の皆さんの手厚い歓迎ともてなしに深く感謝したい。
講演では小説「群蝶の木」のモデルになった「慰安所」の話を皮切りに、沖縄戦の強制集団死の軍命令を否定する動きと自衛隊強化、新しい歴史教科書をつくる会や安倍首相らによる歴史歪曲などについて話した。
翌26日には民主平和交流院の展示を見学した。光州市で民衆蜂起がおこったのは、私が大学2年の時だった。ニュースで流れる映像に衝撃を受けた。
その年の12月に首里キャンパス最後の琉大祭で学生自治会が、光州民衆蜂起と血の弾圧を記録したフィルムを上映していた。あの時代に沖縄で反戦・反基地運動をたたかっていた学生や労働者、市民には他人事とは思えなかった。
市民が最後まで立てこもった旧全南道庁舎の窓から眺めた噴水と広場、午後5時18分に時計塔から流れる「ニムのための行進曲」の音色が胸に迫った。