25日はカヌーの参加者が午前6艇、午後5艇と少なかったことや、K9護岸の工事が法面補強から始まることもあり、瀬嵩の浜を出発したあと汚濁防止膜の確認し、辺野古側の様子を見に行くことにした。
勝丸に乗り込んで久しぶりに長島の間を抜けてみると、フロートから鉄棒と緑の網が取り除かれていた。カヌーや船の抗議行動が辺野古弾薬庫下に移ったこともあるが、何よりも破損が相次いで対応に追われたことが撤去の理由だろう。沖縄防衛局の猿知恵が辺野古の海の波風に吹き飛ばされたわけだ。
キャンプ・シュワーブの映画館近くの作業ヤードでは、消波ブロックの製作が続いている。海から見えるテトラポットの数は限られているが、すでに100個以上は完成しているだろう。現時点でこれを止めるには、ゲート前で生コンのミキサー車を止めるしかない。成否は市民がどれだけゲート前に集まるかにかかっている。
辺野古弾薬庫下の海域に移動すると、K9護岸の工事は左右の法面に根固め用袋材(布団かご)を置いて補強し、路盤にも布団かごを置いて石材を敷き、平らにならしているところだった。クレーン車を前に移動するための準備で、4月25日のセレモニーから1か月が経ち、K9護岸は30メートルほど海に伸びた。カヌーチームは少ないながらフロートを越えて抗議した。
二重のフロートの上に乗ってカヌーを引き上げたり、岩場近くからカヌーを引き上げて入れたり、厳しい条件ながら各自が工夫して越えている。少しでも投下現場に近づいて抗議しようという思いからだ。その思いがなければ、カヌーの活動もここまで続かなかっただろう。少人数でも連携を取って前進し、投下場所の手前のフロートまで行って抗議したメンバーもいた。
瀬嵩の浜で昼食と休憩をとったあと、午後は弾薬庫下に行って作業の様子をしばらく船上から見た。午前に引き続き路盤を平らにする作業が進められ、最後に鉄板を敷いてクレーン車が前に移動した。その後、捨て石の投下が再開されたので、カヌーチームはフロートを越えて抗議した。
新聞やテレビの映像を見ると、投下される捨て石によって周辺海域が白濁しているのが分かる。クレーンが吊り下げたモッコが開き、石が落ちるたびに粉塵が舞い上がる。高江のヘリパッド建設もそうだったが、基地内の工事は立ち入り調査も米軍の許可が必要なのをいいことに、ずさんな作業がまかり通っている。
どうせ埋め立てるのだから環境保全などいい加減でいい、という勝手な理屈は許されない。沖縄県は早急に現場を調査し、国は工事を止めるべきだ。捨て石が投下される海底にも多くのサンゴがあり、生物が生きている。その命が日々圧殺されている。破壊された自然、命は元に戻らないのだ。